(写真:東京都 東京大学安田講堂)
先日、7月28日に令和6年度一級建築士製図試験の課題文が発表されました。
発表された内容は次のとおりです。
今年の課題は「大学」でした。
〇〇な大学ではなく大学という出題からして、今年の課題も自由度が高そうな課題だと予想できます。
今回は令和6年度設計製図試験の課題について、課題文を読んだ私なりの印象などを考察してみようと思います!
【注意】あくまでも、記事の内容は個人的な見解であることを承知のうえで読んで下さい。
用途について
今年の課題は「大学」
『〇〇な大学』ではなく、ただ『大学』というここ数年の課題と同じ出題形式。
使われ方がイメージできるような副題などはなく今年の課題もかなり自由度が高そうです!
ただ、令和5年度の図書館と同様に、大学というイメージしやすいという点では、取り組みやすい課題ではあるように思います。
大学という課題は過去の製図試験では出題されておらず、今回が初めてとなります。
過去には「大学のセミナーハウス」(H25)という課題もありましたが、関連性は低そうです。
大学という用途を深掘りしていくと授業を受ける教室や講堂やホールといった多目的に使える大空間、休み時間に誰でも使えるフリースペース、事務室や医務室などの管理部門の部屋に研究室などが要求居室となる可能性が高いのではと思います!
大学構内には体育館や図書館といった施設もありますが、課題名が『大学』ということもあり、体育館などをメインとすることには違和感を感じます。
同じような理由で専門的な設備などを考慮しなければならない、○○学部と指定される可能性は低いと考えられます。
(可能性は無きにしも非ずですが、そこまで考慮するとパンクしちゃいます…)
要求図書について
要求図書については、去年と変わりはありません。
『大学』という用途と「各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。」という表記から考えるに、2~3階と階高が決められているゾーニング型、都心の大学に多い基準階型の両方の可能性があります。
また、近年多い平面図3つ、断面図1つが要求されると仮定して1/200でA2に納まるサイズを考えてみると、建築面積1000㎡程度になると思います。
なので、基準階型であれば、教室や研究室、管理部門が入り混じったこの建物ひとつで大学の役割を果たせるようなものになりそうです。
ゾーニング型だと基準階型と同類のものに加えて、広いキャンパス内の一角にある学生会館などの可能性も加わってきます。
そうなると、令和元年の『美術館の分館』のように周辺建物との関連性や動線についても配慮する必要がありそうですね。
建築物の計画に当たっての留意事項について
去年の留意事項に「大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造計画とする。」という文言が追加されていました。
年始に起きた能登半島地震と大学が公共性の高い建物ということから、「DCPの観点から構造計画について考えてね」という出題者側の意図にも感じられます。
免震構造は過去に要求されたこともあるので、免震構造について理解を深め、作図の練習をしておくべきだと思います。
また、要点記述でも免震構造や耐震設計、構造部材の寸法などについて問われる可能性も高いと思うので準備しておきましょう!
注意事項について
注意事項は去年と変わらず。
これまで通り、「建蔽率」、「容積率」、「道路高さ制限」、「延焼のおそれのある部分」、「防火区画」、「避難規定(歩行経路、歩行距離、重複距離、敷地内通路)」等には適合するように気を付けましょう。
昨年度の試験では「北側斜線制限」が数十年ぶり出題され、多くの人が抵触し、失格になってしまったことからも、法規の対策は徹底しておくべきです。
また、大学の教室については、建築基準法上の法的な「採光」(床面積の1/10の有効開口)が必要となる点にも注意しておきましょう。
また、「大学」という施設は地域に開かれた公共性の高い施設という特性から様々な年代の人が利用するため、バリアフリーに配慮することも忘れずに!
さいごに
以上が課題文を読んだ思った私なりの製図課題に対する考察と分析です。
課題の内容は当日になるまでわかりませんが、課題文に目を通して自分なりの予想を持つことは大切だと思います!
いろいろな可能性を考慮しつつ、継続的な練習と復習を通じて、試験に向けて準備していきましょう!
この記事を読んでくれたあなたの成功を祈っています!!
ではまた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
コメント